器ふたたび

day
Jul 21, 2019

TCIラボの方々、アトリエ・ド・パリの館長さんフランソワーズ、ストラテジストのグザビエ、京都市の方々、それから留学中の学生さん達がたくさんでアトリエといってもただの家なのですが、来てくださった。
アトリエは一軒家の普通の一部屋なので数人しか入れないし、申し訳ないなあと恐縮して、ああ、ちゃんとしたスタジオを持てるくらいになりたいわあと悲しく思いつつ、リビングでお茶をお出しすることに。
せっかくなので、<襲 Kasane>で食べてもらう。<襲>は一つずつ色と質感を変え、重ねた時にグラデーションになるように作った12枚のお皿です。組紐の仕覆に入れてます。
仕覆から取り出して、テーブルに並べる。緑庵の数種類の主菓子を、これはどのお皿に合うかなあ、と考えつつ載せた。そうしたら歓声があがって、思ってもみなかったほどみなさん喜んでくれる。
12枚1組のお皿でみんなで食べる。なんだかとっても一体感。
そしてAnaïsとわたしの作品の構想と進捗等々を報告、検討。
帰り際、これは本当にIchigo-Ichieだったねと言ってくれたフランソワーズ。立派な日本家屋でなく、こんなカオスなリビングでそんな言葉をいただいて少し驚いて、一期一会というと素晴らしい茶室空間でというイメージがあるけれど、そうか、もっと精神的なものだったんだな気づかされる。
 本当のとこ、最近は食器を作ることへの興味を失いかけていたのだけれど、つまり、究極は、禅僧の応量器だな、と思っていた。すぐ極端に走ります。あまりにも物が溢れていて、デコラティブな食器も溢れていて、食傷していたのです。今も応量器に勝るものはないと思うけれど、でも、こうして喜んでもらえて、再び、器も作り続けたいと胸が熱くなった。

“ Entropy”

day
Jul 21, 2019

止まっていた時間が再び動き出したように、先週からふたたび動き出したSavoir-faire des Takumiプロジェクト。
自分の中で存在の大きくなっていた物理の世界、京都に到着したばかりのAnaïsから「エントロピー」という言葉を聞いて、離れているのになんでリンクしてるの!と驚き嬉しかった。決して元に戻ることのない熱量を表す「エントロピー」という物理学のことばをわたし達はテーマにすることに。物理学の中での本来の意味を真に理解できないのは百も承知と開き直って。
みんなのプレゼンを聞きながら、作品の構想が自分の中で流転する。
こういう方向に行くとは思っていなかった。
むくむくと、自分の中に眠る破壊衝動が出てきたり笑。
そしてまたこの数日でクルクル流転。倒れたり起き上がったりにっちもさっちもいかなくなったり。大学生の頃美術史の授業でわたしは何を勉強してたんだろう。教授は何を教えてたんだろう。
そしてまた別件で、Fine artとApplied artの根深い違いのところへ嵌まり込む。素材ありきで作っているのはApplied artで、自身の思想ありきで素材を選ぶのがFine artなんだろう。マテリアルにこだわっている限り近代というか。ところがマテリアルにこだわるのは素晴らしいことだし、きっと対立的なニ元論の時代は終わって、東洋的な一元論の時代が来るんじゃないかな。先端的な素粒子物理学は以前からそうであるように。アートだって。市場で中国の存在感も圧倒的なのだし。と頭の中もぐるぐるカオス。
ああ、でも思想を作らないと。それはいつの時代もどこでも変わらず必要なことだから。