Jet Black Space Prjoect1

work
Jan 29, 2019

進んでおります!『Jet Black Space』プロジェクト。
先日はプロジェクトに参加してくださっている京都市産業技術研究所研究員の方々のご厚意により、伝説的職人の柳生健智さんにお話を伺うことができました。

柳生さんは金閣再建時の金箔を貼られた方です。金箔を貼る前には漆下地がしてあるので、柳生さんは実際に漆黒の空間に立たれたことのある方なのです。私がこのプロジェクトを思い立ったのも、柳生さんの金閣でのお仕事に関するドキュメンタリーを見たことに端を発しています。というわけで、ぜひともお話を伺いたかったのです。

柳生さんは78歳になる今も朝の3時に起きて毎日金閣のお守り(維持と修復)に通われています。
金箔という通常室内にしかないものを、屋外で風雨に晒し続けていくことのいかに困難なことか。
いつも一人で中に入り、足利義満と話すような気持ちで仕事をし、観光客が入る朝9時までに仕事を終わらせるそうです。
再建時の漆黒の空間について伺うと、黒漆が磨きあげられた床に足を踏み込む時には落下してしまいそうで恐ろしかったということです。全面黒漆塗りの部屋を作りたいんだと私が言うと、あんたすごいこと考えるねえ~と笑っていらっしゃいました。
録音録画NGだったので目と耳に焼きつけました。

その後、産業技術研究所の大藪氏と竹浪氏とともに光の採り方についてミーティング。
今回は、ものすごーくざっくりした、スタイロフォームに漆を塗ってサイコロ状にしただけの箱を持参しました。
予想以上に暗い。でも、なんだか凄いです。漆って本当に、圧縮された黒なんだと思う。

で、中に入った感じを見るため、かぶってみる⁇
笑ってしまう画です。でも、かぶるとみんななかなか出てこないんです。
うお~漆くさいとか、ほおほおとか、へ~とかいいながらずっとかぶってる。部屋の電気を点けたり消したりしました。かぶっている状態なので、下からの光しかないのですが、下3分の1ぐらいまで漆の壁面がぼんやり見えてきれいでした。

漆黒の闇というけれど、 ある程度光があって面の反射がないと漆だということはわからない。にじむ光に漆らしさがあるようで(艶消しの場合)。漆黒を表すには光が必要だというのはとても面白いと思ったのでした。

 
この結果を東京の建築家にフィードバックして、さらに建築家側でも送った漆パネルを使って模型で光の採り方を検討してもらうことになりました。そして京都チームでも、引き続き模型サンプルにて形状検討を…続きます。