Urushimedia2 多面体と拡大鏡

idea
Jan 11, 2019

Urushimediaとしての活動を始めたのは、端的にいえば、漆で作品を作って鑑賞者に見てもらう、また購入してもらうという従来の方法に限界を感じたからです。もっと流動的に、能動的にアプローチしたい。作りたいものも、漆器、漆芸品というような言葉の範疇からはみ出してきました。空間という体験型のものであったり、映像であったり。色んな方向から多角的に漆にアプローチしたほうが漆を伝えることができるのではないか、と考えたのです。

また、現代において漆作家は(陶芸などの工芸全般に言えることかもしれません)、アートなの?工芸なの?という立ち位置に悩まされる場合があります。私もそこにはまり込んだことがありました。でも、こんなに世の中が猛スピードで変わっていくスリリングな時代、そんなところからぽーんと飛び出して、新しいプラットホームを作ってしまえばいいや、と思ったのです。

Urushimediaとしての表現方法は、蒔絵などのように外へ外へと加飾を重ねてゆくのではなく(決して蒔絵を否定しているわけではありません)、漆という素材に拡大鏡で迫っていくようなやり方をとります。生活の中に本物の漆器がほとんどない現代の環境、その中で漆というものを伝えていくには、内へ内へと向かった方が、漆という素材、魅力が見えてくるんじゃないだろうか。そっちの方が強いんじゃないだろうか。そう思うのです。