Kyoto→Paris

work
May 25, 2019

こちらの京都市とパリ市共同プロジェクトに参加するため出発します。
ミニマムで美しい昨年のリーフレットのロゴ&デザインはわたしのロゴやDMを作ってくださっている塩谷さんがされたそうで、さすが。よし、わたしもがんばらねばー。

→  Savoir-faire des Takumi project

「Savoir-faire des Takumi」は、京都市・パリ市の職人やアーティストたちが互いに交流し、それぞれの文化や技術からインスピレーションを受けながら、世界のアート市場に向けた、新しい作品の創作等をサポートするプロジェクトです。

“Savoir-faire des Takumi” is a collaborative project to support artists and artisans from Kyoto and Paris, where they can interact and create new works geared towards the global art market while gaining inspiration through each other’s culture and techniques.

主催:京都市、パリ市、アトリエ・ド・パリ 協力:文化庁 地域文化創生本部、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)、アトリエ・ダール・ドゥ・フランス
特別協力:株式会社髙島屋 事務局 : 京ものアート市場開拓支援事業事務局(コンソーシアム 株式会社ジェイアール東日本企画 / 株式会社TCI研究所)
Organizers : City of Kyoto / City of Paris / Ateliers de Paris Partners : Agency for Cultural Affairs, Government of Japan / Kyoto Art Center / Ateliers d’Art de France
Supporter : Takashimaya Co., Ltd. Managing Office : Kyo-mono Art Market Development Support Project Managing Office(Consortium between East Japan Marketing &
Communications,Inc. and TCI Laboratory, Co., Ltd.)

figureを軸装

day
May 17, 2019

典雅堂の表具師水島さんと打ち合わせ。
漆の映像作品『figure』を映すための白紙の掛け軸を作ってもらうのです。わたしも漆を塗った布など持参。

表装の世界は全く未知でしたが、いや未知のままですが、きれいな紙やら、美しい布やら、なんだかとても柔らかい世界でした。そういえば水島さんも柔和な方です。
でも、マテリアルに変化をもたせるため銀箔をご自身で硫化してたくさんの色味を作られたりと、色々と熱心に研究されています。お軸にはいくつも要素があって、一文字とか、軸先とか、地とか、コーディネートのようにあれこれ考えるのは愉しい~。

わたしは、絵といえば額に入れて壁に飾るもの、という感覚で育っている現代日本庶民です。そんなわたしにとって、掛け軸という完成されたフォーマットができあがるまでの歴史の中の変遷や精神活動はどんなだったのだろう、と思うとすごくわくわくして、もはやエキゾチシズムぐらいの距離感で興味をひかれます。

絵をくるくる巻いて持ち運べるなんて!とか、ほどけば完全に平面布地へと戻る着物の発想と同じ思考回路で作られてる!当たり前か、とか、風帯を生み出した美意識はなんぞやとか、色んな思いがぐるぐる嵐のように巻き起こってぽーっとなりました。
ちょっと調べたら最初の起源はやはり中国で、仏画などを掛けて拝むためのものだったそうです。コーカサスやアフガニスタンの山岳民族が掛ける、拝む対象としての織物を思い出しました。

そして完成した見事なこの掛け軸というシステムに、ははーっと改めて感動しました。
自身のDNAの中に眠っている記憶が、やっぱこれだろっと呼応していました。

漆のお軸、いや、お軸のスクリーン?どんななるかなー。

あ、そういえば、の話です。
柴田是真という江戸後期〜明治期に活躍した漆界の巨人がいます。
水島さんによると、是真の漆絵の軸は、巻いても漆部分がバキバキには割れないらしく、そこで真贋を見極めたりするそうです。(漆は乾くと柔軟性はほとんどなく、曲げれば普通割れてしまいます。特に日本産。東南アジア方面の漆はゴム質が多く、多少柔軟性があるようです)
軸装する必要があった時代の漆絵には、巻くことで湾曲させられても大丈夫なように、何かしらの技術があったのかもしれません。それが是真独自のものか、それとも漆業界に確立されていたものかはわからないけれど…。漆関係の書籍あたってもそんなことは載っていないし、是真関係の研究を探せばいいのかな。何かご存知の方があれば教えてください。あ、別にわたしは漆絵をするわけではないのですが。

BnA Alter Museum

day
May 12, 2019

漆の映像作品「figure 」に音楽をつけてくださった青木孝允さんの作品を見にBnA Alter Museumへ。すごいたくさんの人が河原町通りまで溢れてた…。 青木さんの作品 TRAVELING ROOM。こんな音の粒粒を浴びられる空間独り占めにできるなんて、京都だけど泊まりたい。翌朝起きたら頭ん中から身体中の中身という中身が新しく総取っ替えされていそうです。
漆の映像のために音楽を作っていただいた時も、音楽を作ってもらう、ってなんて贅沢なことなんだろうと感激したばかりでした。青木さんの言うように音楽って波長というか物理的な波のようなもので、液状の漆に合う、その漆を落としているわたしの身体に合う、そんな一つの新しい波長を作っていただいたようで、感動したのでした。

大江能楽堂

day
May 07, 2019

能楽師の大江広祐さんの舞台を観に。
大江能楽堂の舞台は大変珍しい総漆塗りの床だそうで、とても見たかったのです。舞い手の跡が生々しく目に見えて残る舞台は迫力!
桟敷席もあって、天井も素敵。衣装もたまらん…そして高揚させられるお囃子と謡、長時間続く熱のこもった舞でした。

茶会~closing

exhibition
May 01, 2019

この一か月というもの、消化するのが大変なほど毎日たくさんの個性豊かな素晴らしい方々に個展にご来場いただき、新たな出会いにも恵まれたありがたーい日々でした。

そして平成とともに終わる予定だったのですが、好評につき令和になっても会期延長していただいております。15日までです。
※一部展示は終了とさせていただきます。

写真は〈茶会ヤミヨノウルシ〉の記録です。
先生方、大切な友人たち、ヴィラ九条山に滞在中のフランス人アーティスト御一行様まで来てくださったりと定員の何倍ものご希望をいただきました。席数も増やしはしたのですが、お待たせしてしまったり数々の至らぬ点がありましたこと、何卒ご容赦いただけますと幸いです。
茶筅を振り続けてくださった茶人の大久保さん、この茶会のためにわざわざ『陰翳礼讃』を読み込み、羊羹を作ってくださった鍵甚の雄ちゃん、本当にありがとうございました。
暗がりの中で重箱の内側の漆黒に、そしてまた漆黒のお皿の上へと黒糖羊羹が融けこんでしまう様は、不思議の国のようでした。暗がりで食べる羊羹は、口へ運んだ瞬間黒糖がぱっと匂いたち、そして感覚の主役となった味覚が羊羹に襲いかかる、ぐらいのインパクトある美味しさでした。
「〜だがその羊羹の色あいも、あれを塗り物の菓子器に入れて、肌の色が辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、ひとしお瞑想的になる。人はあの冷たく滑らかなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ、ほんとうはそう旨くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。」この谷崎の言葉は本当でした。もちろん雄ちゃんの羊羹は元々旨いに間違いはありません。でも、これにてわたしの二十年も抱いてきた疑問が解決いたしました。感謝です。まだまだ『陰翳礼讃』の世界は遠い遠いところだった、と数々の反省もありますが、大変勉強になりました。
ともあれ、ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。